第五話



世界は四つ。

何処までも清純なる白き世界。
何よりも混沌たる漆黒の世界。
卑しき獣と悪しき人人の世界。
正義を掲げる愚者達の世界。

獣からも鳥からも敵と看做された蝙蝠。
その黒い羽は、悪魔の象徴。
蝙蝠の其よりか、遥かに巨大で鋭い。
あたかも天使の持つ白き翼の様な。
 肉も腸も無い存在が黒い羽を有していた。
眼も髪も爪も毛も無い。ただ、白骨ばかり。
それが、動いた。
翼を持つ人型の髑髏。彫刻としか、思えない。
なのに、まるで尋常だと語る様に、動いた。
抜身の大剣を腕に絡めていた。銀に輝く剣は、数多幾多の敵を切り捨てていた。
その剣の柄を握り締めた。五本指の、骨が。

カラカラカラ

カの音は非常に高く、ラの音は幾分リに近いかも知れないが。
髑髏が、叫んだ。
部屋を埋める騒音。顎。
窪んだ二つの眼部は妖しく輝き、魂の光を放つ。
まるで、床を覆う金銀の財宝を護らん海賊の骸骨。
古代に沈んだ大国の金貨に、世界を統一した王が所有した短剣。
根絶された宗教の正典と神像に、散らばる天然の宝石。
伝説の聖剣は鳳凰を模り、対なる盾は全ての攻撃を防ぐという。
世界の冒険者が望んだ夢を足蹴にし、それをまるで石コロの様に扱う。
如何に多くの国を、人を、死者を侮蔑しているのだろうか。だが、『彼』にそんな気概は全くとして存在しない。紛れも無く夢を掴んだのは彼であり、彼が望む夢の為に他人の夢をどれだけ潰そうとも。彼は、潰された夢に縋る他人を侮蔑などしない。何故ならば、端から他人などを眼中に置いてはいないから。

滅んだ国の軍。国に命を捧げた軍兵は、死して護国の鬼と化した。
幾百年も幾千年も昔の話と呼ばれながらも、今に伝わるのには聊かの訳が有った。
それを事実だと信ずる者が余りに多すぎた。
それを事実だと知る者が余りに多すぎた。
昔話では無く、忠告として。
国の為に世界の神さえも討ったという兵は今尚、暗き海底に身を潜めていると。
まるで子供を欺く為に造られたかの様な御伽草紙は、しかし確たる事実。
神の、神が死して尚強まる呪を浴びた軍兵は、不死の肉体に不朽の魂を得た。
それが、『彼』にとって幸せかどうかは解らない。
しかし、今。彼は笑っている。
声をまともに上げる事さえ敵わず、骨と骨をぶつけて。

何処までも黒く、果てし無く長いマフラーが彼の闘気を浴びて風を受けた様に揺れる。
海底に沈んだ屋敷に、一陣たりとも風が吹く事は無いというのに。
マフラーは太い尾に絡まり、風を受け流す。
誰の、というよりは、何の尾。
まるで壁。まるで建築物。
巨大な、世界で最も巨大な生物であった。
深紅だけが禍々しく彼の背後に聳える。
生物の体色は保護色を持たない。何故ならば、最強の種族であるが故に。
竜。ドラゴン。悪魔。
そう呼称を持ち久しい知恵を持つ生物は、彼に仕えていた。
口を大きく開ければ一度で丸呑みしきれる相手を尊敬していた。
敬愛していた。崇拝していた。順従していた。
 世界が恭しく彼等を王と、王の仲間と認めた中で反逆は起こる。
起こしたのは、無数の、人。王の眷属だけは、王に牙を剥いた。
百獣の王も、白色の大熊も、三つ眼の巨人も王と認めた者に。
王を糾弾し拒絶し剣を取り王と交えた。
そして滅びた文化が示すのは、王の勝利であり人の敗北。
王を拒絶しなかった者、彼を王と認めた極々一部の人だけが生き残り、文化と歴史の再興に心身を注いでいた。
昔の、話であった。人は受けた罰を忘れ、王に二度反逆した。
海底の屋敷。深海の魚さえも敢えて避けるその扉を開けた者達。
『大魔法』により転送されて来た者達は、五人。
世界の平和を願い、世界の注目を浴び世界を救う為に集った者達。
人は彼等を勇者と呼び、地上の人王は彼等を応援した。
海底に住まう魔王の討伐を。

剣士。魔法使い。賢者。僧侶。
自称するのは、何れも最強にして無敵。
聖剣と謳われる剣を構える剣士は、全ての存在を両断する。
星を破壊する魔法を知る魔法使いは、宇宙を制覇する。
禁断の法を律する賢者は、世界中の人々を一度に操る。
主神に身を捧げた僧侶は、神の仇を討つ術を手に入れた。
カイン。ヒューゲル。ラインハルト。ミッシェル。
四人の勇者を知らぬ人は居ない。
地上の大半を支配していた魔族を地の果てに追い遣り、海上にはこびる賊を討ち滅ぼしたのも、彼等。正に、大英雄。
その彼等の敗北を考える者は無く、海底の魔王も倒し戻って来ると誰もが思っていた。
 カインの持つ聖剣の一太刀に扉が開かれる。ヒューゲルの魔法により超重圧と無酸素の中、その身体を維持する彼等は屋敷の付近に水が無い事に気付いた。
まるで、浦島太郎に登場する竜宮城の如く。
ラインハルトが『創律』により掌中に炎を灯すと赤く煌々と照る。
世界で最も星の中央に近い建造物では、酸素さえ供給されていた。
超重圧も存在しなく、ヒューゲルは掛けた魔法を解いた。
「禍々しい気配が、二つ。不生者と、竜が」
目を瞑り、己の気を放ち付近の敵を探る術を操るのはミッシェル。
殺された神を正義と信仰する者。僧侶。
四人の英雄に於いて、唯一の女性でもあった。
不生者とは生死を捨て、身を冥界に、魂を現界に置く者の総称。
「マザーに、アイクァか。伝説の通りだな」
四人を纏めるカインだけを真の大英雄だと讃える者も居る。
それでも雄は群を成し、館を歩む。
マザー。
アイクァ。
幼少の頃、誰もが一度は聞かされる伝説に登場する一組の戦士。
マザーは不死の剣士で世界を破滅に陥れ、アイクァはマザーを背中に乗せて、青い天空を支配した炎の様に真っ赤な龍だと言う。
神を殺した彼等は、しかし神の呪いに海底に封印された。
世界に広まる『幻神教』の教典にも彼等は登場し、最悪の悪魔として知られていた。
「ここよ」
万はあろうかという扉が廊下に並んだ。
その中で、1つだけ。ミッシェルだけに解る波動を放つ扉が存在していた。
それはつまり、敵が存在する部屋を開く扉。
石で作られた扉は人の力で開くものでは無く、カインが斬り捨てた。
ズウンという鈍く巨大な音を響かせ、四人は遂にラスボスに到着する。
「観念しろ、マザー!」
不生者と、龍は無言で彼等を迎え入れた。
世界に間違った名の知れた者達に襲い掛かるカイン。
両手で握る聖剣は、大魔王ガーゴイルさえも一撃で斬り捨てた。
「ジャスティス!」
布教。宣教という意味で伝えられている言葉を叫ぶミッシェル。
今更、世界の敵に教えを説くという意味では無い。
幻神術。幻神教の僧侶にのみ伝わる秘術を説いた。
対象は、カインの聖剣。
効果は、不生不死を断ち切る力を乗せる事。
振り抜く直前に術の掛かった聖剣は強く光り輝いた。
「ビッグバン・オブ・ジャスティス!」
正に、世界最強の一撃。
一太刀で生態系を狂わすとも呼ばれる、カインが己で禁じた剣を解き放った。
それ程、マザーとアイクァを危険視していた。
何があっても、倒さなければならない敵であった。
その力に耐え切れる唯一の存在である聖剣と、幻神術『ジャスティス』と、ジャスティスを発動出来る当代に於いて無二の存在であるミッシェルと、カインと、カインの剣術が揃って初めて発動出来る術であった。
一刀両断。言葉の通りに真中で振り下ろした。
一緒に背後のアイクァも断ち切れる。それだけの力が在ると四人の誰もが疑わなかった。
 だから、その現象に反応出来る者は無かった。
ポキン。と、まるで紛い物の銅剣が折れた音を響かせて。
ジャスティスを纏った聖剣が、折れた。
堅いとか、軟いとかでは、無い。
有るのは、力の差。聖剣が存在を己から止めなければ成らない程の、力量の差が、最大最強の一撃を砕いた。
ビックバン・オブ・ジャスティスを破り尚、無傷で存在出来る程。
ちなみに。
マザーは、動いていない。微塵たりとも。笑いさえせず。まるで、蟻が靴の先に触れた様に、気付いていないが如く。
「あ」
やっと言葉が喉を通ったのは、カイン。流石、と讃えるべきか。
それでも、唖然としていた。茫然自失とは、彼の為に在るのでは無いかと。
「メ、メギド!」
粛清。そんな意味で使われる言葉だが、ジャスティスの通り本来の意味とは違った。
複雑な両手印と声文は、創律の基本体系。『魔法』の中で、特に分類して考えられているのが創律と幻神術。魔法使い、とだけ称される場合、その者が使用するのは汎用魔法という事に成る。創律は、賢者。幻神術は、僧侶。と、呼び分けされる。
それほどに、何が違うのかと言えば。
等価値に於ける力の変化を魔法と呼ぶのを前提にすると、例えば順回転を逆回転にしたり、沸騰した湯を氷にしたり、圧力の方向を自由自在にしたり等。
そして、創律は変化では無く、生産。無を有に転じるという、特殊条件下にて等価値交換を行う事を指す。空中に炎を生み、雲中に雷を生み、海中で酸素を生み。
生産された存在が存在を維持出来る場所でのみ発動できるのも特徴。
また、一瞬でも存在維持出来ない場合は完全に発動しない。
一瞬の炎で蒸発しきる水中で炎を生む等は、後者に当て嵌まる。
生産された後は、この世界の定理に従われる。
今、メギドと叫ばれた創律は空中で炎を生む魔法の、最上級。
大量の空気を焼き尽くす炎を生んだ。
マザーとエイクァを包み焼く。
創律は、賢者は生む場所と生む量、今回は更に大まかな温度だけを指定する為、生まれ方等を一切調節出来ない難点が存在する。
目前で生まれた大火を見て、やっと意識を取り戻すカインと、他の仲間。
敵前から飛び去り、折れた聖剣を眺める姿は、それでも何かに打ちひしがれていた。
金に輝く部屋の中で赤く輝く炎を見詰め、三人はそして単純に驚く。
ゴウッ!
と、風が生まれた。
竜。マザー以上に侵入者に興味を持ち合わせては無かったようなエイクァが、息を吸った。大きく、深呼吸。
そして消え去るメギドの炎。
岩をも蒸発させる炎に、焦げ一つ負っては居ない。
ここでも、反応が一番早かったのは賢者ラインハルト。
深呼吸。そう理解した途端、次の創律を発動させた。
「デリート!」
第一次世界宗教戦争を、こう呼ぶ。
固有名詞だと考えられがちだが、創律では還元という意味を持つ。
多々有る魔法の中でも、奇異な術に当たる。
有を無にする魔法。無から有を生むサイクルの、転換。
これだけは複合魔法とも呼ばれ、創律に汎用を組み合わせた形式に成っている。
存在を維持出来る場所でのみ、発動する事が創律の条件だが、デリートは考えられる全ての状況で使用出来る為、無条件で使用出来る。
そして消えたのは、エイクァ周りの空気。
エイクァやマザーを、デリートを掛ける事が出来ればどれだけ楽かは解り得ないが、今、試した結果は失敗であった。デリートの発動条件が加えられた。
ただしマザー、エイクァには無効と。
しかし、ラインハルトの冠名は賢者。効かないと端から考えていた創律に掛ける程、愚かでも無い。目的は、遂行されている。エイクァ周りの空気が一瞬でも消えれば、充分であった。
深呼吸。呼吸とは、吸う。と、吐く。の動作を纏めて、そう呼ぶ。
エイクァは未だ、吸う。の行動しか起こしていない。
メギドの炎を消し去るのが目的では無く、炎を吸い、そして吐き返すのだと判断した。
炎は、可燃物に触れていないと自滅する。
デリートで創造した真空。可燃物の存在しない空間であった。
火炎の吐息。
竜伝説の内、かなり有名な部類である其れが、目前で吐かれた。
メギドの総量よりも吐息量が多いのは、竜の体内に可燃物が有り増幅させたのか、竜が持っていた炎と混ざったのか。真空に消え去る炎はしかし、そう長く続かない真空に容易く勝った。それでも直撃であれば部屋を覆う筈だった業火は、威力を半減されていた。
「トール!」
叱咤や怒りを意味する。
雷を生む魔法。
四人に迫る直前。動けるのは、それでもラインハルトだけであった。
部屋全域を僅かな電流が走った。無論、アイクァにもマザーにも四人にも走る。
目的は、デリートと同じく。
空気中の酸素と水素を反応させて水を作る。可燃物の消失とエネルギーの消失を狙った。
これも、威力が低減すれば良いかとラインハルトは考えての行動。
であった筈なのだが、意外な効果を上げた。
莫大な量の水が、生まれたのだ。それこそ部屋を埋め尽くす程の。
火炎の吐息を消し去り、副次的に生まれた水蒸気爆発さえもを抑えた。
一瞬。まるで一瞬の出来事であったが、背筋の凍る瞬間であった。
やっと他の三人も気が引き締るが、カインは護りに徹するしか出来ない。
「フリーズ!」
喋れる程の酸素が残っていた。トールの発動後、無酸素状況になる一瞬の間も無く、酸素は部屋を埋め尽くしていた。つまり、無限。
幾らどうしようと、この部屋から酸素が無くなる事は無いらしい。
フリーズ。止まるが転じて、凍る。
これは、魔法使いヒューゲル。一連の現象が済み、残った水量は足が浸かる程度であったが、かなりの高温であった。それを冷水に変えた。
これで有利になるとは言えないが、不利にもならない。
「ハイテンション!」
楽観的、刹那主義を意味する。
幻神術では、冷静にして熱血。頭を冷やし、身体を興奮させる術。
ミッシェルが四人全員に掛けた。
このタイミングは、偶然だったが中々に正解でも有った。
2ラウンド目の、開始。
といっても緒戦は四人にとって、圧倒的劣勢では有ったが。
聖剣は折れ、メギドは効かず、部屋の特性を理解した。
「向こうから、仕掛けて来ないっていうのも、癪だけどね」
独り言。
呟いたのは、ヒューゲル。
「戦争は策で決まるが喧嘩は力で決まる・・・か」
ラインハルト。
四対一乃至二。
これが、戦争か喧嘩かを決めるのは、誰か。
当人達。誰も言わずとも、これが戦争であるのは明白であった。
「サンライズ!」
朝、または夜明けを意味する。
幻神術において、大望という魔法。
全身の血流と神経、細胞を活性化させ、思考と肉体を活発にさせる。
一歩間違えれば廃人に成り得るこの術を完璧に操れるのは世界でも数人だと言う。
「サンセット!」
夜、または日暮れを意味する。
大望の対を成すのは、絶望。
これは仲間に掛けるのでは無く、空間。
時間遅延を一定空間内に施す。
その術者が認めた者にのみ時間は通常経過の様に感じさせる。
サンライズと組み合わせて、最速と化す。
「ボール!コールド!スティック!」
ヒューゲルの、三連撃。
ボールは、液体を球状に纏める。
コールドは、水を氷にする。
スティックは、固体を棒状に変化させる。
対象は、足元の水。
先ず、水を一点に纏まる。竜の頭上、空中に漂う。
質量に変化は無いが、大きさは掌程に。
それが固形化する。氷。
更に、棒状。天井と床を貫く一本の氷柱が出現した。
竜の、脳天を貫いた。
血は出ない。それでも、確実に頭を貫き、戒めを施していた。
多量の質量から成る氷の球は、その殆どが柱と成る際、速度に転換される。
又、体積以上の質量は重複されてストックされる。3個の水分子が同時に1個内に含まれている場合は内1個が消滅する度に1個が生じ、それが2度起きるという事だ。
メギドでも傷一つ負わなかった竜が貫通傷を負ったのは、速度によるものだとも言えた。
サンセットは術にも有効であり、本来より十倍以上の速度であった。
直ぐに氷柱が歪み始める。
竜が放つ熱が氷を溶かし始めていた。
ヒューゲルがコールドを連発して食い止める。
その間、攻撃の一手はラインハルトに任される事に。
「ファング!」
突風の魔法。発生源は、氷柱で貫いている竜の傷から。
山を切り崩す突風は力の行き場が無い状況に生まれ、暴発する。
氷柱を幾らか削るが、水蒸気は柱に吸引された。
傷口を大きく広げた。人の拳一個分から、人の頭一個分程に。
氷柱を広げ、傷口が癒着しない様に食い止める。
「トール!フレイム!」
多量の水を生み、炎で蒸気に化す。
氷柱が更にそれを吸引し、コールドの連発回数を減らせた。
削り。そう呼ばれる行為である事は百も承知であったが、仕方も無かった。
サンセットの効果は、体感時間にしてもそう長くは無い。
「トール!メギド!」
今度は、更に大量。竜を完全に飲み込む程に。
「キューブ!アイス!コールド!」
間髪、置かず。
生まれた水を立方体に維持し、液体窒素に変えてから凍らした。
表面が激しい勢いで気化するのを食い止めながら部屋の温度も同時に下げる。
結果、竜と不死者の氷製琥珀が。
「ブローク!」
コールドの合間に、新たな魔法。
それは、原子崩壊。
組み合わせを引き千切る。ただ、それだけの。
先ず、狙ったのは竜の尾。
凍り付いた尾を壊す。それはまるでビスケットを咬み砕く様に簡単な筈だ。
それでも。無効というより、無意味。無駄に終わった。
僅かに歪みさえもしない。


「もうそろそろ、気は済んだかい」


頭に、直接鳴り響く声。
一瞬にして蒸発する氷の檻。
竜と不死者が現れる。
竜の、確かに頭を貫いていた氷柱も、その傷跡も無く。
その現象に、今度は賢者さえ気を取られて。
「エ、エイクァか!?」
カイン。
叫ぶ声は、酷く脅えて。


「エイクァ……アア、私だ」


又、頭に直接。竜言語と呼ばれ、生物全てと意志の疎通を可能にした言語だと言う。
竜の眼が、妖しく光る。金色に。
「俺の名はカイン!貴様等を討ちに来たッ」
自身の言葉に、言霊を乗せて。
恐怖を怒りに、絶望を縋りに。


「お前等が、私の敵だと……いや、違う」


敵では無い。その発言は妖計を企てた甘言か。
それとも。
「舐めているのか…」
半分砕けた聖剣を投げ捨てて、カインは無手を構える。


「いや、いや…遊戯にしては、中々楽しめた」


今、この時程、四人の意志が結束されたのも前に無い。


だが、それだけであった。
竜の『火炎の吐息』に、成す術も無く消し炭と化した。




赤からアカ。そしてAKA。変じてエイクァ。
正しくは、赤竜。



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