第三話
「ズズズズズーン」
「悪魔の軍団が群雄割拠でやってくるー」
「下僕を大勢引き連れてー悪魔の大王がやってくるー」
「気をつけろー気をつけろー」
「あいつら何もかも食っちまうー」
「あいつら何もかも食っちまうー!」
「でも大丈夫!アイツが助けにやってくるー」
「たった一人で悪魔をぶちのめすー」
「その名はー」
「その名はー!」
「「プリッズナー!」」
「バカでアホなアイツだけどー」
「アホでバカなアイツだけどー」
「プリズナーキック一発、悪魔を蹴散らして!」
「プリズナーパンチ一撃、大王倒す!」
「さいきょうむてきのー!」
「「せんしだぜー!」」
超新星級戦士プリズナー主題歌(オープニングテーマ)「最強無敵の戦士だぜ」からサビ部分。
銀色のマントはジェット付きの超合金。宇宙さえも制覇する。
燃える真赤なグローヴは超科学の結晶。新星の輝きは敵を滅ぼす。
ガチガチハードのヘアースタイルは烈火の如く天を貫く白髪。
ミラーサングラスは全てを解析し、ベルトには緊急避難の道具が詰まっている。
ジャケットは活動エナジーを貯蓄しブラックホールも飛び跳ねる。
「はっはー!」
荒野の崖上。
大熊にも匹敵する長身の男は、プリズナー。
生まれた時に肉体改造の手術を受け、歩ける時から戦闘訓練を施された。
喋るようになった時には戦場に立っていた。
父は科学者。母は助手。
2人の、世の常識を打ち破る科学の結晶は、プリズナー。
相棒は敵の妖計に嵌り撃ち殺された。孤独な英雄。
「プリッッズナーパーンチ!」
最強の英雄が放つ無敵の技。
崖から飛び降り、目標に向かい一直線。
ジェットは噴火し、放物線をブチ壊す。
「ヤッホオ!」
激しすぎる爆発音。
目標の額に拳が当たり、込められたエナジーを解き放ち爆発を起こす。
一撃必殺。
その冠名が剥がされたのは、初めてだった。
黒衣の男は、衣さえ汚されていなかった。
世界の敵。
ミラーサングラスは男を分析し、そう判断した。
「ハンッ!プリズン・チェイン!」
一撃必殺が崩されようとも。
世界の敵が相手だろうとも。
プリズナーがそれに動じる訳が無い。
何故なら最強無敵の戦士だからだ。
ベルトが変形し、敵を縛り付ける。
動きを止めるだけの技だが、宇宙船さえも止める威力。
「プリズゥウウウウン」
ジェットが再噴火し、プリズナーは空高く舞う。
そして先ほどの崖よりも遥か上空で停止し、落下する。
「キィイイイイイック!!」
プリズンパンチとプリズンキック。
同じ性質の技ならば、二つは要らない。
その差は、爆発と威力。
パンチはグローヴの爆発能力を乗せて真価を発す。
キックは、爆発が無い代わりにパンチの何倍もの破壊力を持つ。
重力がトロの脂みたいに乗っかったキックが、敵を撃つ。
その衝撃に耐え切れなかったのは、大地だった。
砂煙が巻き起こり、荒野が罅割れる。
そして演出の様な煙が収まるのには時間が掛かった。
ベルトを鎖の様に巻かれている敵は、しかし額で攻撃を受けきった。
プリズナーは、そして笑う。
「ヒュゥ!強いねぇ」
敵は笑わない。
真っ白の綺麗な歯並びを自慢し、右手を天に掲げた。
「それじゃあ俺の命燃やしてイッパツやるか!」
グローヴには、安全装置が内蔵されている。
本来、解除は危険過ぎる為にブラックボックス化している装置だ。
それを外す。
悪魔大王でさえも、外すには至らなかった。
隠れボス。そんな言葉が最適だろうか。
地獄の業火よりも熱い炎がグローヴに纏わる。
炎の色が赤から青へと変わる。
「行くぜぇ」
父は悪魔の手先に殺され、母は後を追った。
全てを息子に託し。
そしてプリズナーは世界を救った。
「最強無敵のぉお」
青い炎は大きく成っていく。
既に辺りの空気は熱され温度は高い。
「超!プリズナーパァアアアンチ!」
腕は火の鳥と化し、全てを覆った。